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奄美大島とハブ

奄美大島には、猛毒で知られる毒蛇ハブが生息しています。一説によると、奄美大島の人口約7万人に対して、ハブは25万匹生息しているとも。

毒蛇ハブは、直接、人間の生命に危害を加える怖い存在ですが、一方で、このハブがいるため、シマの人々はハブの棲む山(森林)を恐れ、いたずらに野山に入ることがなく、結果として豊かな自然を残してきたともいえます。

今でもハブは森の守り神なんです。

habu

ハブは非常に神経質で臆病な夜行性の動物ですが、家の中に入ってきたりする妙な側面を持っています。分布域、行動域が広く、山の山頂から、山腹、集落のある低い所、畑、道路、海岸、磯、街中。どんな所でもハブは目撃されています。

たとえば生息域の広い動物では、クマネズミがいますが、山にいるクマネズミはずっと山にいる。里にいるクマネズミは、ずっと里にいる。ハブは1匹でかなり広い範囲を動いているという、本当に珍しい行動をとる生き物です。

ハブは色の違いから、島では金ハブ・銀ハブという呼び方をします。腹に黄色味があって、地肌も黄色いのを金ハブといって、そうでない白っぽいのを銀ハブといっています。あと、黒っぽいのを黒ハブ、茶色いのを赤ハブといったりします。

奄美大島では金と銀の2系統あるように見えますけど、遺伝子的にはほとんど違いはありません。同じ親からの卵をふ化させてみると、金ハブと銀ハブが混じって生まれてきたりします。

毒も島によって全然違います。沖縄では、別種だろうというぐらい変わってきます。ハブは遺伝子の並び替えで、毒のあるたんぱく質の酵素の重要な部分を極端に変えているのです。研究では加速進化という言葉を使っています。

ハブはいる島も限られていて、場所によって色や形、習性が違うという大きな特徴があり、島ごとに新しい毒を作っていくと同時に、模様も勝手に変えていて、大きさとか形、習性も違ってくる。奄美のハブは、頭がおにぎりみたいに三角。徳之島のハブは、全体的に細身で、頭もほっそりとした三角です。

ハブの一番の問題は、その猛毒です。

毒を作っているのは耳の下にある唾液腺で、元々は消化酵素を出す腺なのです。ハブはその消化酵素を非常に進化させている。高性能な消化酵素を、相手の奥深くに、長い牙で打ち込む。相手がネズミであれば、殺す目的以外に溶かすという目的がある。ハブに噛まれて毒を入れられて新で呑みこまれてしまったしまったネズミは、2日で完全に溶けてしまいます。表面の構造がなくなるほどですから、その消化する速度は、かなり早い。ハブは血液の中に自分の毒(酵素)を中和する物質(阻害剤/インヒビター)を持っているのですが、そのインヒビターを人間に応用するのはかなり難しいとされています。

治療法は、抗毒素を打つのが一般的に考えられていて、実際に病院でも、そういった措置が行われています。でも、ハブの毒の場合、何が一番いけないかというと、毒が体の中にあることがいけないことなのです。治療の基本は体の中の毒をなくすことです。ハブ毒吸引器で初期の段階で毒を吸い出し、すみやかに病院で治療を受けることが大切です。


☆ハブに噛まれたら☆

(1)まず、慌てずに、ハブかどうかを確かめます。

第一線でハブ咬傷の治療に携わっている人によると、一番大事なことは本当にハブにかまれたのかどうか、とのこと。また、毒蛇の種類によっても血清が異なるそうなので、可能であれば本当にハブに噛まれたか確認することが大切です。

ヘビの種類が分からなくても、ハブなら牙のあとが普通2本(1本あるいは3,4本の時も)あり、数分で腫れてきてすごく痛みます。

(2)ハブだとわかったら、大声で助けを呼びます。

走ると毒の回りが早くなるので、車で病院に運んでもらうか、ゆっくり歩いて行くようにしましょう。

(3)病院まで時間がかかる場合は、指が1本通る程度にゆるく縛ります。

血の流れを減らす程度に縛ります。恐怖心から強く縛ると血流が止まり、逆効果になることもあります。また15分に1回はゆるめましょう。


関連リンク:朝沼クリニック ハブ噛傷

引用・参考:奄美ガイドブック わたしたちの奄美大島